結果的に仕返しに失敗したんでスレ違いだと思うが、その辺は容赦してくれ。
少しキャラを強調してあるが、おおむね実話。まあ、ネタ認定は自由だけどな。

親戚に「ゲンさん」というオジさんがいた。

うちの父より少し若い。長いこと「お父さんの従兄弟だよ」と聞かされてたが、
父の異母弟…つまり祖父が生前、愛人に生ませた子だと、ずっと後になって知った。
母親(祖父の愛人)が早くに亡くなり、幼い頃から本家で育てられたが、
義務教育を終えるとすぐ働き始め、夜間高校を経て職人になったそうだ。

とにかく破天荒というかムチャクチャな人物だった。

本家の仏壇は仏像の代わりに仏画を飾ってあるんだが、ゲンさんは高校時代、
法事の時に悪戯でその仏画を「春画」と入れ替えたりしたらしい。
働き始めてからも、親方と大喧嘩して職場を飛び出した後、どこで捕まえたのか
カエルを数百匹だか数千匹だか親方の自宅にぶちまけた、という話も聞いた。

それ以外も素行に問題が多かったようで、俺から見たら面白くていい人だが、
親戚の中ではちょっと…というか、かなり浮いた存在だった。

俺の父は地元の大学を卒業後、実家を出て都会で就職したんだが、
年に1〜2回、家族で本家に行くと、どこからともなくゲンさんが「よぉ!」と現れる。
いろんな遊びも教えてくれたし、バイクの後ろにもよく乗せてくれた。

本家から少し離れた納屋みたいな自宅にはエロ本やエロ漫画が山のようにあって、
思春期の俺に「存分に読んで、存分にセンズリこけよ!」と見せてくれた。
大酒のみでずっと独身だったけど、親戚の中じゃ一番心を許せる人だったな。

夏休みや正月に本家へ行くのは、ゲンさんに会えるんで楽しみだったが、
あの家には憂鬱の種もあった。本家の奥さんだ。

伯父(父兄弟の長兄)のお嫁さんに当たる人で、そこそこの名家出身。
嫁いで来た頃は地区でも評判の美人だったそうで、確かにキレイな人ではある。
ただ、箱入り娘で若くして結婚したせいか、世間知らずなワガママ奥様。
プライドも人一倍高く、俺の両親ら分家の面々をあからさまに見下してた。

その辺は俺より両親の方がいろいろ嫌な思いをしたんだろうが、
うちの父の勤め先を「○○さんが就職するまで聞いたことなかったのよ〜」と
聞こえよがしに言われると、子供心にかなりカチンときた。

従兄弟のタクと比較されるのも嫌だった。本家の一人息子で俺より1コ下。
勉強は抜群にできたみたいだし、奥さんにすれば自慢の息子だったんだろう。
親戚が集まるとタクがいかに優秀か、嫌になるほどひけらかした後、
思い出したように「ところでカズ君(←俺)はどうなの?」と振ってくる。
「いやあ、うちのは出来が悪いから」と言う父の顔は、いつも引きつってた。

タク本人は本ばっかり読んでるおとなしい子で、それほど嫌な奴でもない。
ただ、行き過ぎじゃねえかと思えるほど母親に溺愛されたせいか、
極度のマザコンで、何をするにも気の強い母親の言いなりだった。

当然というか、この本家の奥さんとゲンさんは折り合いが悪かった。

奥さんにすれば夫の異母弟に当たるわけだが、親戚の集まりでオバさんたちに
「あんなのがいると親戚中が迷惑するのよねぇ」と大声で愚痴ったりする。
ゲンさんは本家に出入りするとき、正面玄関じゃなく勝手口を使ってたが、
あとで聞くとそれも奥さんの「強い希望」だったそうだ。

ゲンさんは基本的に何をされても飄々としてたが、内心思う所があったみたい。
餓鬼だった俺が奥さんの言葉で嫌な思いをしてふくれっ面してると、
そっと隣に来て「あのババア、いつか仕返ししてやろうな。ヘヘっ」と笑った。

俺が大学に入った年の夏、本家で祖父の七回忌の法要があった。
毎年の法事は両親だけが行ってたんで、親戚が一堂に会するのは久しぶり。
オジさんやオバさんたちにも、もちろんゲンさんにも合格を祝ってもらった。

ただ、タイミング悪くというか、従兄弟のタクも同じ年に大学へ入学。
奴は現役でT大に合格し、俺は一浪で三流私大に滑り込んだわけだ。

案の定、本家の奥さんの息子自慢は頂点を極めた。
会う人ごとに「おほほほ、うちのタクちゃんがねぇ〜♪」と鼻高々。
それだけならいいんだが、やっぱり俺が比較対象物に持ち出された。

「そういえばカズ君も合格したのよねぇ?おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「うちのタクちゃん、追いついちゃったわねぇ〜♪」
「はは…、追いつかれちゃいましたね」

親戚一同がそろった場だ。ちょっとムカっときたが、まあ覚悟はしてた。

「そうそう、カズ君が入ったの、何て大学だっけ?」
「ええと…(小さな声で)○×大学です」
「(大きな声で)○×大?頑張ったわねぇ。オバさん聞いたことないわぁ〜」

そりゃね、地元の奴か近郊の受験生でもなきゃ知らない大学ですよ。
思わず握り拳に力が入ったが、これから法事なのに変な態度も取れない。
修羅場スレ的には俺の父親あたりが「義姉さん、それは言い過ぎですよ!」と
立ち上がるところだが、両親とも恥ずかしそうにうつむくだけだった。

まあ、奥さんにすれば別に俺に恥をかかせるのが目的じゃなく、
タクの優秀さを自慢するダシに使っただけなんだろうが、それでもちょっと酷い。
ムカムカしながら寺に向かう途中、法事なのになぜか平服のゲンさんが
俺の肩を抱いて「カズよぉ、今晩、仕返しだぜぇ、仕返し。へへっ」と笑った。

法要は無事終了。本家の広間に親族が集まり、夕食から宴会に突入するのが恒例だ。
大人だけでも十数人、餓鬼も入れたら20人以上だから結構な規模になる。

本家の奥さんからなるべく離れて親戚のオジさんたちと談笑してたら、
子供らと同じ席にいたゲンさんが、赤ら顔でフラッと傍に来て俺に耳打ちした。

「カズよぉ、タクが潰れるまで飲ませろ」
「タクに?なんで?」
「いいから!あいつ全然飲めねえから」
「う、うん、分かった」
「ビールじゃなくて日本酒と焼酎な。あと、おめえはあんまり飲むなよ」

そう言うとゲンさんは子供らの席へ戻る。うちの両親を含め親戚の大人には
ゲンさんと距離を置く人が多いが、不思議と子供たちには人気があった。

見回すと、タクは本家の奥さんの隣にいる。ほとんど見せ物だ。
こっちの席に呼んで飲ませたら、ゲンさんが言った通りすぐ真っ赤になった。

宴会は基本的に「タクちゃんT大現役合格、すごいねぇ!」の流れだから、
他のオジさんたちも「めでたいねえ。まあ飲んで飲んで」というノリ。
もともとおとなしい性格に加え、祝賀ムードもあって断りづらかったらしく、
タクはヘロヘロになりながら必死で杯を傾けてた。

夕方に始まった宴会は夜更けまで続き、子供らと女性陣は客間へ引き揚げ。
いくら本家が広くてもこれだけの人数を寝泊まりさせる部屋はないわけで、
広間の隅に布団が積み上げられ、大人の男はその辺で雑魚寝するのが恒例だ。
俺も大学生になって正式に大人扱いというか「宴会で飲める要員」と認定され、
寝場所も客間から広間での雑魚寝に「昇格」した。

深夜、飲んでる大人も減り、そろそろ俺も…と思ってたら再びゲンさん登場。
俺に「カズ、大丈夫か?ちょっと来い」と耳打ちする。
ついて行くと、広間から襖1枚隔てたスペースで本家の奥さんが丸まって寝てた。
一応ホスト(ホステス?)側だし他の女性陣が引き揚げた後も広間に残ってたが、
そういやちょっと前から姿が見えなかった。寝たのかと思ってたけど…。

「おい、運ぶぞ。手伝え」
「え?う…うん」

言われるまま、奥さんの体を2人がかりで持ち上げる。細いから案外軽い。
そろそろと運んだ先は、客間でも夫婦の寝室でもなく、2階の子供部屋だった。
部屋の主のタクはまだ広間だから無人。奥さんを抱えてベッドに横たえる。

「脱がすぞ。カズは下な」
「えっ!?ゲンさん、なに言って…」
「シーッ!いいから。絶対起きねえから」

奥さんは法要じゃ正装だったが、ちょっとお洒落な普段着っぽい服に着替えてた。
唖然とする俺の前でゲンさんは手早くブラウスのボタンを外し始める。
なんだか勢いに押され、俺もスカートのホックを外しジッパーを下ろした。

奥さんは早くに結婚したんで当時40歳くらい。うちの母より5〜6歳若い。
見事にくびれが消え去った母と対照的に、余分な肉の少ない均整の取れた体だ。

結構飲んだらしく、白くてきめ細かな肌がうっすらピンクに染まってる。
体も肌も、女子大生並みとは言わないが、年の割に張りがあってキレイだ。
もともとスタイルが良い上に、結婚後も頑張って維持してるんだろう。

「下着もいくぞ。カズは下な」
「ゲンさん、やっぱマズいよ。起きちゃうよ」
「大丈夫、大丈夫。そら、いくぞ」

奥さんの上体を起こして器用にブラジャーのホックを外すゲンさん。
さすがに躊躇したが、もういいや、という感じで俺もパンティーに手をかけた。

2人がかりでこれだけゴソゴソやっても、奥さんは少し眉をしかめただけ。
いくら飲んでても、起きるだろ普通。ちょっと尋常じゃない感じがする。
睡眠薬か導眠薬か知らんが、酒に何か仕込んだのか?小説じゃあるまいし…。
あとでゲンさんに聞いても「へへっ」と笑うだけで教えてくれなかった。

奥さんの裸は美しかった。そこらの熟女AVに出てくる女優より全然キレイ。
俺、彼女は同い年だし熟女趣味は全然なかったが、この奥さんなら余裕でイケる。

細い割に胸が大きいな、と前から思ってたが、実物はDくらいありそうだ。
そこそこ張りを保ったオッパイに、ちょっと色が濃くて可愛いらしい乳首。
ウエストはくびれ、うっすら脂肪に覆われた尻から太股のラインも見事だった。

奥さんが「うう〜ん」と言いって体をよじらせると、逆三角形の陰毛が揺れる。
俺もそこそこ飲んでたが、見てるだけで股間がパンパンに腫れ上がった。

でもゲンさん、奥さんをどうするつもりだ?まさか昏睡レイプ?
いくら大好きなゲンさんでも、いくら嫌な本家の奥さんでも、それはダメだろ?
誘われてもヤらないし、ゲンさんがヤろうとしたら全力で阻止する!

勃起させたままじゃ説得力ゼロだが、そんなことを思ってると、
ゲンさんが「よっしゃ、広間に戻るぞ」と俺を部屋から連れ出した。

広間では親戚全員が既に撃沈し、隅に敷いた布団やその辺で雑魚寝してた。
ゲンさんは真っすぐ従兄弟のタクの所へ。律儀に最後まで付き合ってたらしく、
酒瓶の間で体を丸めて寝てる。いくらマザコンでも寝相まで親子同じって…。

「ほら、運ぶぞ。カズは脚持て」
「う、うん…」

タクは小柄で華奢だが、さすがに奥さんより重い。泥酔してもまだ飲ませたから
小心者の俺は「急性アルコール中毒にでもなったら…」と内心ヒヤヒヤだったが、
とりあえず大丈夫そうだ。ただ、酩酊状態で完全に意識を失ってるみたい。

2人がかりでタクを運んだ先は、やっぱり2階の子供部屋。
ベッドでは熟睡状態の奥さんが、全裸で穏やかな寝息を立ててる。

「よーし、こいつも脱がすぞ」
「ええーっ!?ゲンさん、なに考えて…」
「いいからいいから、言われた通りにしろ。へへっ」

ゲンさんは嬉しくてたまらないという表情だった。夏場だから親子とも軽装。
スラックスとシャツを脱がせ、トランクスを下ろすとすぐ真っ裸だ。
タクのチンコを見たのは子供の頃、一緒に風呂に入って以来だが、そこそこ立派。
ただ、当たり前だが柔らかいままで、先っぽの半分くらい皮に包まれてた。

「さあ、オネンネだ。脚持て」
「えっ…だって」
「あと1人くらい乗るだろ。ほらっ」

奥さんの体を向こう方にずらし、ベッドの空いたスペースにタクを横たえた。
ベッドは広めのシングルで、2人乗せるとどうしても体が一部重なってしまう。
作業しながら気が気じゃなかったが、母子とも全く起きる気配がない。

「まずはお乳でも吸わせてやるか。こいつ、ママのオッパイ大好きだから」

ゲンさんがタクの体を少し下に動かし、奥さんの胸の位置に顔を置く。
頭をつかんでタクの口を乳首に当てると、しばらくムニャムニャして口に含んだ。
もちろん酩酊状態だから舐めたり噛んだりするわけじゃないが、
やがて本能なのか、無意識のまま軽くチューチュー吸い始めたのには驚いた。

奥さんは相変わらず熟睡中だが、胸を吸われながら時おり眉を動かし
小さく「ううっ…」と呻いたりしてる。悪い夢でも見てるんだろうか…。

「今いちだなー。やっぱりポコチンのお世話か」

ゲンさんはブツブツ言いながら、今度はタクの体を枕の方へ少し移動。
奥さんの拳を開げ、タクのチンコをつかませる。見てるだけでドキドキする。
これでチンコが反応したら面白いんだが、さすがにそれはなかった。
2〜3分も握ってただろうか、奥さんが寝返りを打ってチンコを離す。

「う〜ん、どうせなら食わせてやろう。カズ、手伝え」

腕組みしながら構図を練る姿は、まるで絵描きか写真家みたいだ。
2人がかりでタクの体を抱え上げ、頭と足を反対向きにして横たえる。
向かい合うように体の角度を調整すると、ちょうど親子で69してる格好だ。

この辺になると俺も、相変わらずビビッてたが、なんだか楽しくなってくる。
途中、タクが「うう〜ん」と言いながら薄目を開けたんで焦りまくったが、
意識が朦朧としてるのか、ムニャムニャ言ってまた夢の中へ戻って行った。

2人の身長差はそれほどないから、互いの顔の真ん前には相手の黒々とした陰毛。
まず、奥さんの頭をつかんで口元にチンコを近づけたが、
唇を付けるだけで舐めたり咥えたりしない。まあ、当たり前といえば当たり前か。
頬を押さえて半開きの口に突っ込んだら、一瞬だけ亀頭を浅く咥えたものの、
すぐ眉をしかめて顔を背けた。包茎だから臭いが強かったのかもしれない。

今度は奥さんの両脚を広げ、太股の間にタクの頭を挟むように固定する。
奥さんの陰毛は薄めだったから、開脚すると微妙な色合いのアソコが丸見え。
激しく興奮して「ブチ込みたい!」という衝動に駆られたが、そこは我慢した。
タクはピンクのアワビを鼻先に押し付けても「う〜ん」と唸るばかり。
やっぱり臭いが強かったのか、眉をしかめて顔を背けた。

しばらく眺めた後、ゲンさんが「やっぱスタンダードかなぁ」とポツリ。
俺に指示してタクの体を元の向きに戻すと、奥さんの開いた両脚の間に据えた。
ちょうど正常位みたいな体勢だが、2人は重なるというより向き合う感じ。
奥さんが片脚の上にタクを乗せ、腰のあたりを両脚で挟む格好だ。

ゲンさんの額に汗が浮き出る。こんな真剣な表情、今まで見たことない。
仕上げとばかり、タクのチンコを奥さんのアソコにあてがうように微調整する。

「よっしゃ、完成!」

ゲンさんが満足した表情でベッドから離れた。俺の隣で腕組みして立ち
出来ばえを確認する様子は、やっぱり「アーティスト」のたたずまいだ。
ちょうどその時、運良くというか運悪くというか、ベッド上の2人が動き始めた。
やばい!目を覚ましたか、と逃げ出そうとした俺をゲンさんが引き止める。

どうやら奥さんが寝返りを打とうとしたようだが、片脚にタクが乗ってて動けない。
しばらくモゾモゾした末、タクに覆い被って抱き締めるような体勢になった。
タクはタクで「う〜〜〜ん」なんて言いながら、奥さんの体を抱き返す。

互いに抱き枕にしがみついてる感覚なのか、2人とも幸せそうな寝顔。
タクは豊かなオッパイに顔を埋めてたが、寝ぼけてるのか無意識なのか、
やがて目の前の乳首をチュパチュパとしゃぶり始めた。何だかうらやましい。

下半身はというと、母の割れ目にチンコを擦りつけるようにゆっくり動かしてる。
もちろん、ガンガン腰を使ってるわけじゃなく「寝相」の範囲内の動きだが、
背中側から見るとタクが母親に挿入して腰を振ってるように見えなくもない。

奥さんも息子の頭を愛おしそうに抱き締め、合わせるように腰を動かし始めた。
気持ち良いのか、タクにしゃぶられた乳首はかなり大きくなってるみたいだ。
俺は『うわぁ、何だよこれ』と思いながら、興奮で喉がカラカラになった。

「ほらカズ、見てみろよ」

角度を変えて覗き込んでたゲンさんが、ニヤニヤして俺を呼んだ。
同じ場所に行って覗くと、2人の体に挟まれたタクのチンコは完全に勃起。
さっきまで半分皮に包まれてたピンクの亀頭が、ニョッキリ顔を出してる。
寝ぼけ状態の「素股」で刺激されたのか、エロい夢を見てるのかは分からない。
奥さんの呼吸が心なしか荒くなってるように感じたのは、たぶん気のせいだ。

「さ、そろそろずらかるぞ」と、ゲンさんが俺を促した。

「えっ、このままだとマズいんじゃ…」
「大丈夫!めったなことじゃ、ズッポリ入ったりしねえよ」
「でも…」
「気にすんな。そのうちどっちかがベッドから落ちて起きるだろうよ」

いずれにせよ、この部屋に居座っても意味ないどころか危険なのは確かだ。
俺は2人に布団をかけると明かりを消し、ゲンさんに続いてそっと部屋を出た。

もう夜中の2時をとうに回ってる。田舎の夜は本当に暗い。
広い本家宅には、広間で雑魚寝してるオジさんたちのいびきだけがこだましてた。

「よっしゃ、俺は自分ちに戻るからよ」
「あ、うん…」
「分かってんだろうが、連中が起き出すまで子供部屋には絶対入んなよ」
「うん、分かってる…」

そう言い残すと、ゲンさんは勝手口を出て家路に就いた。
俺はどうしようかと思ったが、とりあえず広間に戻って横になり目を閉じた。

中途半端に飲んで眠りが浅かったのか、それともやっぱり緊張してたのか、
目が覚めたのは夜明け前。外が何となく白み始めたくらいの時刻だったと思う。

「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!!!!!」
と悲鳴が響き、ビックリして起きた親族一同が何だ何だと子供部屋に集まる
…という期待した展開には、まだなってないようだ。

とんでもないことした、という思いはもちろん頭の隅に残ってたが、
ここまでくると俺も、人生最大の悪戯にワクワクする気持ちの方が勝ってた。

朝起きたら親子が素っ裸で抱き合って寝てるわけだ。どんな顔するんだろう。
いや、朝まで待つことないか。シングルベッドに2人寝かせてるんだし、
ゲンさんも言ってたけど、どっちかが床に落ちて起きるかもしれない。
冷房はつけてあるが夏だ。2人一緒だと寝苦しくて目が覚める可能性もある。

それに2人ともかなり飲んでたから、トイレに起きたって不思議じゃない。
いっそタクが寝ゲロでも吐いてパニックになったら、それはそれで面白いかも。
考えると居ても立ってもいられなくなる。俺は広間を抜け出すと2階へ上がった。

子供部屋の前で様子を窺ったが、中から物音は聞こえない。まだ寝てるのか?
それとも目を覚ましたけど騒がず、奥さんだけそっと夫婦の寝室へ移ったのか?
ドア前の廊下に腰を下ろすと、また強い眠気が襲ってきた。

座ったままウツラウツラすること1時間くらい、小さな物音でハッと目が覚めた。
「んっ…」のような「あっ…」のような音というか声。音源は子供部屋だ。
緊張感がピーンと張り詰める。俺はドアの所で耳をそばだてた。
確かに人の声…奥さんとタクだ。2人ともまだ部屋にいるらしい。

ただ、声が小さくて何て言ってるのか全く分からない。会話か寝言かも不明。
モゴモゴ小声で話してるような、「ああっ…」「ううっ…」と呻いてるような。
ミシッ…ギシッ…と何かがきしむ音も漏れてくる。

何してるんだ?まさか…ね…

声のくぐもった感じからすると、2人は布団を被ったままのようだ。
しばらく聞いてると、相変わらず「はああぁ…」「うううぅ…」と意味不明の声。
きしむ音はギシギシ…ミシミシ…とペースが上がったような気もする。

もしかして…いや、それはない。アッハン、ウッフンて感じの声じゃないし。
声みたいに聞こえたのは寝言か寝息。ミシミシ音は寝相のせいかもしれない。
そう思いながら神経は耳に集中。外ではチュンチュンと鳥のさえずりが聞こえる。

やがて2人の声が「あっあっあっ…」「うっうっうっ…」と変化したようだ。
ミシミシもさらにペースアップしたが、どっちもやっと聞こえる程度の大きさ。
イライラして聞き耳を立ててると、急に「ギシッ」と少し大きな音が響いた。
ほぼ同時に「ああ…」「うう…」と親子2人の声。これははっきり聞こえた。

次の瞬間、全ての声がやみ、ミシミシ音も聞こえなくなった。
音がしてたのは30〜40分くらいか。もっと長いような、短いような気もする。

静寂は10分ほど続いたと思う。部屋の中から再び声が聞こえてきた。
被ってた布団をはいだのか、さっきより少しはっきりしてる。

「タクちゃん」「ママ」という単語は分かるから親子で会話してるんだろう。
肝心の中身は聞き取れないが、2人とも目を覚ましたのは確からしい。
奥さんが「なんで…」、タクが「だって…」と言ったのも分かった。

やがて「ほら、早く着ちゃいなさい」と奥さんの言葉。これは聞き取れた。
部屋の中でガサゴソと服を着てる気配がする。そろそろ逃げた方が良さそうだ。
俺はそっとドアから離れて階段を降り、広間に戻ると寝たふりをした。

数分後、足音を忍ばせて階段を降りてきたのは奥さんだ。もちろん服を着てる。
広間を覗き込んで様子を窺ってから、そっと風呂場の方へ向かうのが見えた。
俺はというと、期待した大騒ぎにならず、ちょっと肩透かしを食らった気分。
緊張が解けると一気に眠気が襲ってきた。なぜかチンコが激しく勃起してた。

騒ぎを起こして本家の親子に恥をかかせる目論見は失敗に終わったが、
2人が少なくとも明け方まで素っ裸で同じベッドにいたのは確かだ。

叫び声こそ上げなかったものの、目が覚めて死ぬほど驚いたはず。ざまあみろ!
…とは思うが、この手の悪戯って相手の反応が分からないとモヤモヤするよな。
さすがに「どうだった?」と本人たちに聞くわけにもいかないし…。

もっとも、効果が全くなかったわけでもない…気もする。

翌朝、親戚の面々が起き出し、広間に集まってガヤガヤ朝飯を食べ始めた。
本家の奥さんも素知らぬ顔で加わったが、前日と雰囲気が明らかに違う。
口数は10分の1くらいに減ってるし、ハイトーンのキンキン声も抑え気味だった。

従兄弟のタクが静かなのはいつものことだが、昨日まで食事のときは
タクの隣は奥さんの指定席だったのに、この日は親子離れて座った。
そのくせそっと観察してると、時おり親子でアイコンタクトなんかしてる。
親子2人、食事中も食事後もモジモジソワソワ、心ここにあらずって感じだった。

俺の考えすぎかと思ったが、他の親戚も何となく様子が変だと感じたらしい。
何も知らないうちの母親が、奥さんに「どうかなさったの?」と聞いてたし。
奥さんは必死に笑顔を作って「昨日、ちょっと飲み過ぎちゃったかしら」と答えてた。

ゲンさんは朝食に顔を出さなかったが、俺たちが帰る頃にフラッと登場。
俺の頭をポンと叩いて「またなっ!」と送り出してくれた。

期待した騒ぎにならなかったし、不完全燃焼というか消化不良感が残ったのは事実。
「修羅場スレに載せる話じゃねーだろ」という意見もごもっともだ。申し訳ない。

まあ、ネタかどうかなんて、どうせ読んでる人には分からないんだし、
「屋根に上って子供部屋の窓から観察したら…」とか適当に話を作って、
目を覚まして慌てふためく親子の様子を描写した方が面白かったかもしれない。
ゲンさんは「ああいうのは、やるだけやって放っとくもんだ」と言ってたけど。

最後にお約束。関係者のその後だが、これはあんまり面白くない。

あの悪戯を機に、本家の奥さんはすっかりしおらしく…なんてことは全くなかった。
変わった点と言えば翌年に長女…つまりタクの妹を高齢出産したくらいだが、
そんなことで変わるタマじゃない。息子溺愛も高飛車な態度もそのまんまだし、
4年後には俺の就職先を「オバさん聞いたことないわぁ♪」と言ってのけた。
まあ、その頃には俺も引きつった笑いで応じる術を身につけてたけどな。

タクもおとなしいまんま。T大を卒業し今や某大手都銀に勤めるエリート様だ。
奴の就職が決まった時は俺も両親も、そして恐らく親戚全員、本家の奥さんの
「ほほほ、うちのタクちゃんがねぇ〜♪」を何度聞かされたことやら。
今じゃ勤め先幹部だかのお嬢さんと見合い結婚して、それはそれで羨ましいが、
新居にも月2回は本家の奥さんが押しかけて身の回りの世話するというから、
お嫁さんも大変だろうな、とは思う。俺には関係ないけどね。

俺はと言えば、本家の奥さんが「聞いたこともない」という小さな会社に就職。
給料は安いが、このご時世、正社員として滑り込んだだけでもラッキーかもな。
大学時代から続いてる彼女と来年結婚する予定。これぞ「ザ・平凡」な人生か。

そしてゲンさん。書くかどうか迷ったけど、七回忌の2年後に急死した。
酔っ払って自宅近くの川に落ちて溺れたそうだ。

本家に駆けつけて、ゲンさんの本名が「玄(たかし)」だと初めて知った。
葬式は大人たちが静かなのに、俺たち餓鬼の世代がワンワン泣く異様な雰囲気。
修羅場スレ的には、本家の奥さんが「死んでせいせいしたワ♪」とか暴言を吐いて
子供たちが制裁を加える流れだが、少なくとも俺たちの前ではそれはなかった。

ゲンさん、今ごろ天国で「へへっ、つまんねーな」とか言ってんだろうな。
ともあれ失敗に終わったかもしれんが、あの悪戯だけは一生忘れないと思う。